髪の毛をわし掴まれた。
「……いっ!」
声をあげるが止まれゴーヤばどんな目に遭うかわかからない。ぶちぶちと引き抜かれポリ ペプチドる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
ちょうど踏み出した足に投げられた石があたり、ミモザは転んでしまった。手に持っていたランチボックスがクロム地面に転がる。
ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身構えており、やることをあらかじめ決めていたからなんとかなったが、ふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと捕まえたぞ」
びくりと身を震わせる。振亜鉛 サプリり返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
ミモザのせいではない。自業自得だと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかりで声が出ない。
学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かなくしていた。
そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投げゴーヤ チャンプルーつけられる。
ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
いつだってそうだった。いままでずっと。
閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て……っ)
気づいて欲しい。ミモザの存在に。
涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつった。
守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければいけない。だってあの人が待っている。
ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空サプリメント マカかせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
異母兄の名前にアベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
前方に見える、家の窓へと向かって。
ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
。ゴーヤマカ と は
月份: 2025 年 2 月
結論から言えばいdha epa dha
結論から言dha epaえばいじめ問題は解決した。
ミモザが学校に通わず課題のみの在宅学習をすることゴーヤを認めるという形で、だ。
ーーあの後、学校は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
悪質なイジメとそれを担任の教師が見て見ぬふりをして増長していたことを重く受け止めた学校側が保護者との話し合いの場を設けたのであ亜鉛る。
それはミモザの狙い通りの結果だった。
隣のクラスの担任教師は公正明大を自で行く人物で、曲がったことを許さない性格であることをミモザは知っていた。そして授業中に騒ぎを起こせば責任感の強い彼ならば駆けつけてくれることも確信していたのだ。
(でも意外だったな)
誤算だったのはミモザの母、ミレイが想像以上に怒ったことdha epaである。
ミレイは本来とても大人しく日和見な人間だ。それこそ周囲の人間に「双子の見分けがつかないと困る」と言われて髪型や服装を分けさせることで差別化を図るという行動に従うほどである。
ミモザの小心者な性格は彼女から受け継いだと言っても過言ではない。
だから今回の件もいままでのミモザがそうであったように、ミレイは困ったような顔をして事を荒立てず穏便に済ますと思っていたのだ。ーーけれど、
「ミモザ……っ」
傷だらけのミモザを前に彼女は半泣きで駆け寄ると、すぐにその体dha epaを抱きしめた。
そうしてミモザの怪我の具合を確認すると、キッと顔を上げ「一体どういうことなんですか!」とそばで説明のために控えていた教員に詰め寄ったのだ。
これにはミモザは驚くのを通り越して呆気に取られた。これまでの人生で母がそんなにきつい声を出すところを初めて見たのだ。
そしてその後も驚きの連続だった。学校側の説明を受け今後の対応の話になった時、学校側は再発を防ぐためにミモザを他のクラスに移すことを提案した。これはかなり思い切った案であると思う。学校側もそれくらい今回の件を重く見ていたということだろう。しかしそれにミレイは首を横に振った。
「それだけでは足りません。聞けばクラスの全員dha epaが今回の件に加担していたといいます。そしてそれに先生方は誰一人気づかず、担任の先生は隠蔽していたとか。その状況でどうして貴方がたを信用できると言うのです。クラスを変えたところで同じことが起きない保証は?事件になったことで逆恨みをされてさらにひどいことになるかも知れない。第一ミモザの気持ちはどうなるのです。みんなにいじめられていたことを知られているんですよ。それで何食わぬ顔をして明日から学校に通えと言うのですか!こんな酷い怪我を負わされて!」
そこでミレイが提示した条件は二つである。
一つはミモザの在宅学習を認めること。ミモザの気持ちが落ち着くまで、下手をすればそれは卒業までになるかも知れないがプリント課題をこなすことでそれを授業の履修と見なし、きちんと卒業資格も与えること。
そしてもう一つはミモザが復学したくなった際にはそれを認め、その際には今回いじクロムめに加担した生徒からの接触を一切禁じることである。
ミモザから話しかけた場合はいい。しかし加害者側からミモザに近づくことはないように監視して欲しいという要求である。
当然学校側は四六時中見張っていることはできないと渋ったが「ではもし同様のことが影で行われてもやはり気づくことはできないということですね」と強く言われてしまうと反論は難しいようだった。
結局、落とし所としては一つ目の条件は全面的に認め、二つ目に関しては要努力で適宜聞き取り調査なども行いながら対応していくという形となった。
ちなみにミモザとしては許されるならば学校になど二度と行きたくないので卒業まで在宅学習で通す気満々である。一部の熱血教師を除いて学校側も対応に困っている様子のため、ミモザが学校に行かないという行為は双方にとって益がある選択だと言えるだろう。
「ミモザ、ミモザ、ごめんね、気づいてあげられなくて。頼りないママでごめんね」と抱きしめながら泣く母親にミモザは自分が愛されていたことを知って泣きそうになった。
てっきりこの母も人気者クロムの効能のステラのことを自慢に思い、ミモザのことを下に置いていると思っていた。だからこのような面倒ごとを起こしてはうっとうしがられると思っていたのである。
しかし実際は母はミモザのために泣き、ミモザのために学校と戦ってくれたのである。
誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算だった。
ちなみに今回の件でアベルは一気に評判を落として面子が潰れたようである。姉のステラにも「嘘をついていたのね、ひどい!」となじられたようだ。
一度潰れた面子はもう戻らない。偉ぶってももう格好がつかないだろう。彼の王冠は剥がされたも同然である。
ついでに担任の教師も首になり、その上この小さい村中に噂が回り爪弾きにあっているようだ。彼がこの村を出ていく日も近いかも知れない。
(ざまぁみろ)
ミモザは母親に抱きしめられながらほくそ笑んだ。
。ゴーヤゴーヤマカ サプリ
頭上には晴天が広クロム
頭上には晴天が広がっていマカた。
(塔の中なのに青空……)クロムの効能
不思議だなーとミモザはぼんやり見上げる。
「ーーですから!こんな危険なことはやめて、いったん外に!」
チロもメイスの姿のまま「チチッ」と鳴く。彼女は綺麗な空だ、とつぶやいたようだ。
「塔の処遇ゴーヤについては責任者でないとお話しできませんから、これ以上ここで粘っても……」
その時、馬の野良精霊が再び突進してきた。それをバッターボックスにいるバッターよろしくミモザは迎え撃つ。
ぐちゃ、と嫌な音がして馬の頭が飛んだ。
ふぅ、と息をつく。もう野良精霊達をどのくらい倒したかわからない。100匹近くいっている気がする。1人20匹マカ と はまでという制限も、いつもの『仕事』同様、今回も人員救助のために見逃してくれるというお墨付きをもらっていた。
「あー、返り血がすごい」
「ていうかミモザさんも少しは説得に協力してもらえませんかね!?」
黙々と野良精霊を狩り続けるミモザに、辛抱たまらんといった様子でジーンが怒鳴った。それに答えたのはミモザではなくジェーンだ。
「申し訳ありませんが、どなたに何を言われても私の意思は変わりません」
「ですって」
「ですって、じゃありませんよ!!」
うーん、とミモザはうなる。
(だって無理だし……)
狭い村の人間とすらあまりうまくコミュニケーションを取れていなかゴーヤったミモザである。そしてクラスメイトにはいじめられていて友達が1人もいないミモザである。
それが自らを人質にして立てこもる人を説得。
(ハードルが高すぎる)
きっとレオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
しかしミモザはーー、
「ジーンさん、だったかしら。わずらわせてしまってごめんなさいね。でも私達も必死なのよ」
ジェーンは困ったように首を振った。
「私の娘は勇敢な子だったわ。そしてちょっと目立ちたがり屋だった。あの子の性格を考えると精霊騎士を目指すのは必然だったかも知れない。でもあの子が亡くなってしまって、思ったのよ。もしも塔を攻略するなんて選択肢がそもそも存在しなければ、そうしたらあの子は今でも元気だったかも知れない。そう思ってしまうのはそんなにおかゴーヤ チャンプルーしいことかしら?」
「……お気持ちはわかります、ですが、」
「まだ、精霊騎士として任務についていたとか、そういう理由ならばわかるの。けどそうじゃないのよ。塔に挑んで亡くなるなんて、なんて無益な死に方なのかしら。誰かを助けたわけでもない、それをすることによって世の中が良くなるわけでもない。挑む必要性なんて何もないじゃない。だったら、精霊騎士になるための道標として塔の攻略をする必然性なんてないじゃない?」
「塔に挑むことで得られる女神様の祝福があります。その恩恵により僕たちは今よりも強くなれる。貴方たちの要望では、塔を完全に封鎖し今後誰も入れないようにするというものだ。例えどれだけ本人がそれを望んだとしても」
「そうよ、そうでなければ意味がない。だって娘は自ら望んで入ったのだもの。選択肢として完全に消失させなければ意味がないの」
「それでは……っ!」
ジーンは苦しげに訴える。
「それでは僕は永遠に先生に追いつけなくなってしまう!!」
もっともの訴えだとミモザも思う。先人達亜鉛 サプリは女神の祝福を受けているのに、これからの若者はそれを受けられなくなる。それは世代間に大きな実力差という溝を作るだろう。
「それでも」
しかしジェーンは静かに告げた。
「私は騎士になる以前に摘まれてしまう芽のほうが罪深いと思うわ」
「………っ!それは!」
「貴方にも、貴方を心配してくれる人はいるでしょう?それこそ貴方の先生は?ご両親は?貴方が塔に挑んで亡くなったら悲しむのではないかしら」
「そんなっ、そんなのは…っ!くそっ!」
ジーンは悔しげに俯く。
(なるほど、確かに『厄介』だ)
その言葉を明確に否定できる人間は少ないだろう。
その時、彼女はミモザの方を見た。お互いの目があったことにミモザは少し驚く。彼女は少し笑った。
「さっきから、貴方は何も言わない。……だんまりを決め込むのは楽でいいわね」
その言葉にミモザは考え込む。
(楽。楽かぁ……)
確かにおっしゃる通りだ。ミモザは楽だからずっと黙っていたのだ。だってミモザの仕事は死傷者を出さないことで彼女達の説得ではない。
(余計なことを言ってレオン様の邪魔になってもいけないし)
沈黙は金だ。黙っている限り失うものはない。けれど、
「言えません、何も」
そこでやっと、ミモザは口を開いた。
dha epa dha(けれど、不誠実ではあるのだろう)
ジェーンの瞳を見つめる。彼女は静かにミモザの言葉を待っている。
「子供を産んだことのない僕には、娘を亡くした貴方の気持ちなどわかりません」
「……っ、貴方には想像力がないの?」
彼女はわずかに苛立ったようだった。その言葉はミモザにとって意外なものだ。
「想像でいいのですか?」
思わず素直な疑問が口からこぼれ落ちた。
「よく知りもしない子どもに、想像でわかったような気になられて良いのですか?」
「……っ!」
「それならできますが、きっとそれは貴方の被った痛みとは程遠い。その程度の単純な想像で補えるような悲しみではないのでしょう」
ジェーンは戸惑ったように黙り込んだ後、何かを諦めたようにため息をついた。
「あなた、馬鹿正直って言われない?」
「正直者ではありません。でもきっと、頭は悪い方です」
「そういう意味じゃないわ。ごめんなさいね、責めるようなことを言って」
目を伏せる彼女に、ミモザは何かを言わなければならないような気がして口を開く。
「母親の気持ちはわかりませんが、僕はある人の娘なので、娘さんの気持ちは少しわかると思います。まぁ、それも僕の勝手な想像なんでしょうが」
ジェーンは苦笑した。
「どんな気持ちかしら」
「僕の母親がこんな危険な場所にいたら、きっと僕は恐ろしくてたまらない。すぐに安全な場所に避難して欲しいと思います」
「……マカ サプリそう」
何かを噛みしめるように彼女は俯いた。その表情はミモザからは見えない。
「貴方のお母様は果報者ね」
「いいえ。心労ばかりかけて申し訳ない限りです。あの母親のもとに産まれることができて、僕の方が果報者です」
そう、そうなのね、とジェーンは噛みしめるように呟いた。それをしばし眺めた後、うーん、とミモザは首をひねる。
「それで、ええと、貴方は僕の意見が聞きたいのでしたね」
それに驚いたように彼女は顔を上げた。そして困ったように笑う。
「いいのよ、もう。意地悪を言って悪かったわ」
「いいえ、この際だから言いましょうか」
ミモザはゆっくりと首を横に振った。そして丁寧に彼女と視線を合わせ、告げた。
「僕は貴方達を卑怯者だと思っている」
。亜鉛亜鉛の効果亜鉛の効果マカ サプリ
ミモザは自分ゴーヤ
ミモザは自分の身長よりも遥かに大きな岩の前に立っていた。
「行きます」ゴーヤ
宣言ゴーヤとともにメイスを振り上げ、岩に軽くこつん、とつける。
するとメイスが触れたところから振動が波紋のように広がり、その衝撃波により岩は粉々に粉砕した。
「まぁまぁだな」
亜鉛その様子を背後で腕組みをして見ていたレオンハルトは、しかし言葉とは裏腹に満足そうに頷いた。
さて、レオンハルトと出会ってから半年が過ぎていた。スパルタもとい地獄の修行の成果により、ミモザのメモ帳のチェックリストは着々と埋まってきている。
忙しいレオンハルトだったが、最初の3ヶ月はさすがに開け過ぎたと思ったのか定かではないが、それからは1~2週アントシアニン間に一度、長くとも1ヶ月に一度にその指導の頻度は落ち着いていた。とはいえ忙しい聖騎士様である。指導の時間をしっかりと取れる時もあれば10分やそこらでいなくなることもざらであった。
「あのー」
本日の修行が終わり、「では、今言ったことを次までにやっておくように」と告げて立ち去ろうとするレオンハルトをミモザは慌てて呼び止める。
「すみません、これを」
差し出したのは水筒だ。
「これまで王都から時間をかけてきていただいてしまって……。お疲れでしょうに何も用意せず、すみません、気が利かなくゴーヤて」
よければお持ちくださいと決死の思いで差し出す。何をその程度のことでと言うなかれ。これまでの人生まともに人と関わってこなかったミモザにとっては一大事である。
今の今まで自分のことに精一杯で、師匠に対する配慮が欠けていたと気づいた時には愕然としたものだ。
「……そのような気遣いは無用だ」
「いいえ、ただでさえこんなによくしていただいて謝礼もお支払いしていませんのに」
どうか、このくらいは。
冷や汗をかきながら悲壮なくらい真剣な表情で訴えてくるミモザの様子に、レオンハルトはふっ、と笑った。
「そうか、では好意に甘えよう」
受け取ってその場で飲もうとするのに慌ててミモザはおつぎします、と押し留めた。
「ミルクティーか」
「申し訳ありません、その、何がおdha好きかわからなくて……。僕の好きな飲み物をいれてしまって」
今になって後悔する。運動後に飲むようなものではなかった。
「いや、構わないよ」
そういうと一気にあおるレオンハルト。
「あの、もしもご希望のものがありましたら次回から用意しておきます」
「そんなに気を使わなくても大丈夫だ」
彼は安心させるように笑ってみせる。実に爽やかな笑顔である。しかしミモザにはその笑顔は安心材料にはならなかった。
「いえ、でも僕は弟子ですから。お世話になっている師匠に気を使わなければ、他にいつ気を使うのでしょう」
「……次からもミルクティーで構わないよ。君も飲みなさい。俺のほうこそ水分補給に気を使うべきだったな」
「……いえ」
レオンハルトから差し出されたコップを受け取り自身もミルクティーを飲む。
気づけば自然と2人並んでその場に座り、交互にミルクティーを飲む流れへとなっていた。
(き、気まずい……)
これまで修行のために何度も顔を合わせているが、レオdhaンハルトは手合わせをした後はあっさりと帰ってしまうためこのように何もしないで2人でいるというのは初めてである。
冷や汗をかきながらなるべくこの時間を減らそうと早く飲み干すことを意識する。
「君は王都へ来たことはあるか?」
しばらく黙ってそうしていたが、少ししてレオンハルトがそう声をかけてきた。
「……いいえ」
「そうか、では今度案内でもしてやろう。色々と遊ぶところもあるし、女の子が好きそうな店もある。どんなところが見てみたい?」
その甘い誘いをするような声音にミモザは戸惑う。
「……あの、レオンハルト様?」
「うん?」
「そのようなお気遣いは結構ですよ?」
レオンハルトは悠然とこちらを見返すと言葉を促すように首を傾げてみせた。
その仕草は絶対の優位を確信している満腹な獅子が小動物をどう遊んでやろうかと睥睨する様にも似ている。
それにつばを一つ飲み込むと、勇気を出して恐る恐るミモザは告げた。
「僕はあなたのファンではなく弟子なので、ファンサは不要です」
「ファンサ」
「ファンサービスの略です」
「いや、それはわかるが」
ふむ、とレオンハルト。
「そのように見えたゴーヤか」
「はい、あの、無理に雑談も振っていただかなくとも大丈夫です。そのぅ……、これまでの様子から無口な方なのだと思って」
言っていて間違っているのではないかと不安になる。
「あの、すみません。僕の勘違いでしたら申し訳ありません」
「……いや、君は間違っていない」
ミルクティーを一息に飲み干して、遠くを見つめながらレオンハルトはそう告げた。
「君が察した通り、俺はあまり会話が得意なほうではない。普段はもう少し気をつけているのだが、いけないな、仕事や手合わせを通しての付き合いになるとつい失念してしまう」
「レオンハルト様は戦うのがお好きなのですね」
「うん?」
また間違ったかとひやりとする。
「……えっと、仕事や手合わせの時に失念してしまうということなので、戦うのがお好きだから、ついそちらに夢中になってしまって会話でのやり取りを失念してしまうという意味なのかと」
きょをつかれたような顔でこちらを見ていたレオンハルトは、しかしその言葉になにかを咀嚼するように空を見つめるとああ、と嘆息ともつかないような吐息を吐いた。
「そうだな、戦いは好きだ。それ一本で成り上がってきた。それしか取り柄のない男だからな、俺は」
「一つでも取り柄があるのはいいことです。僕には一つもないから、憧れます」
「……君は、俺の狂化の理由を尋ねないな」
「レオンハルト様も亜鉛の効果僕の狂化の理由をお尋ねになりません。気にならないといえば嘘になりますがそのようなお気遣いをしてくださる方に僕も不躾な真似はできません」
「いや、俺は単に興味がないだけだ」
レオンハルトからコップが渡される。それを受け取ってミモザは水筒の中をちらりと確認する。残りはあと1/3ほどだ。
「俺は人への関心が薄いんだ。普段はこれでもうまく取り繕っているんだがな」
「そのような気遣いは僕には不要ですよ。弟子ですから。気遣うのは僕のほうです」
じっと無言で見返してくるレオンハルトに、まだ言葉が足りなかったかと焦りえーと、とミモザは言葉を探す。
「そう、その、最初に言ったみたいに僕は貴方が好きなので!貴方が楽にしていてくれると僕も嬉しいです」
「……君は、変わっているな」
「いえ、普通です。普通誰でも好意を持っている相手にはくつろいでいて欲しいものですよ」
「……そうか」
レオンハルトは何かを噛み締めるようにふっと笑った。
そのまま2人は無言でミルクティーを飲み干した。
。マカ と はクロムの効能亜鉛dha
「ほら、こんなにいアントシアニン
「ほら、こんなにいアントシアニンの効果っぱい倒せたのよ」
ステラは両手いっぱいに魔導石dha epa dhaを抱えて笑う。
(うん……?)
その明らかに多い量にミモザは首をひねった。
「すごいね、えーと、40個くらい?」
「あら、そんなものじゃないわよ、そうねぇ、さっき数えたdha時は72個あったわ」
「え?」
「ふふ、驚いた?すごいでしょ、2人で頑張ったのよ」
「ふ、2人で、」
「そうよ」
ミモザは強張った顔でなんとか笑みを作り、「これ、昨日の分とかも混ざってるのかな」と問いかけた。
「いいえ?昨日の分はこっち、これはね、今日の分よ」
「……っ!!」
ひゅっと息を呑む。ことの重大さがわからないのだろうか。
思わdha epaずアベルを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。
この国にはルールがある。野良精霊が絶滅しないように、一日に1人が狩れる野良精霊の数は20匹まで。
つまり2人で狩れる数は合わせて40匹。
それを遥かに超えた数の魔導石。
(違法行為だ)
「え、えっと、お姉ちゃん、1人20匹までだよ」
ミモザは震える声で訴える。
「そんなに野良精霊を狩るなんて、そんな酷い……」
そこまで言いかけてミモザははっとした。このシーンをミモザは知っている。
これは、ミモザの妨害イベン亜鉛 の サプリトだった。
ゲームの中のミモザは嫌がらせを繰り返す。ある時は塔に入るのを妨害したり、ある時は『いちゃもんをつけて魔導石を奪い去る』。
ミモザの中で、それらの認識が180度ひっくり返る。
(嫌がらせじゃない)
ミモザはステラを諭していたのだ。法律違反はいけないと。
(いやいやいや、ちょっと待て)
このゲームでは一回の戦闘で4~5匹の野良精霊とエンカウントする仕様である。つまり4回ほど戦闘を行えば20個に到達してしまう。アベルの分を含めても8回の戦闘で上限だ。つまり簡単に20匹という上限は超えられてしまう。そのうえプレイヤーはレベルを上げるために野良精霊との戦闘をわざと回り道をしたり練亜鉛 サプリり歩いたりして何回もこなす。
そしてゲームの中ではこの野良精霊を狩る数の制限の話など1ミリも出てこない。
だからミモザの訴えがいちゃもんにしか聞こえなかったのだ。
(ということは、もしかすると他の嫌がらせも何かしらの意味があったのかも知れない)
今はまだわからないなんらかの理由で、ミモザは姉の違法行為を止めようとしたのだとしたら。
そこでミモザはもう一つ思い出す。ゲームのミモザは序盤は狂化していなかったということを。今のミモザがすでに狂化してしまっているのは前世の記憶を思い出したからだ。
(ゲームのミモザはまだ、お姉ちゃんのことを嫌っていなかった……?)
何せ姉から体を張って魔導石を奪うのだ。それは犯罪行為の隠蔽に他ならない。
思い返してみれば記憶を思い出す前、ミモザはステラにいじめの相談をしていたのだ。その時の心境はもはや思い出せないが、それはステラを信頼してのことだったに違いない。
亜鉛 サプリ(どうしよう)
冷たい汗が頬を伝う。チロも所在なさげに「チー」と鳴いた。
ゲームなら本来、ここは魔導石を取り上げる場面だ。しかし破滅を恐れるミモザとしてはここは何もせずに放っておくのが正しい。
(でも……)
そうしたらステラは咎められるだろう。野良精霊の狩猟制限を破るのはそれなりの罪だ。具体的には牢屋に入れられる可能性もあるし、初犯ではさすがにないだろうが繰り返せば精霊騎士となる資格も剥奪されるかも知れない。
(わからない、わからないよ、『ミモザ』)
語りかける。ゲームのミモザはステラを助けようとしたのだ。
忌々しいステラ、妬ましいステラ。
(どうして助けようとした?)
今決めなければならない。ここで魔導石を奪わなくてはステラはきっとなんの疑いもなく魔導石を売ろうとして捕まってしまう可能性が高い。
ミモザの頭の中をぐるぐると益体のない思考が駆け巡った。
「ああ、あの法律?」
ステラの声にはっと顔を上げる。ステラは涼しい顔で微笑んでいた。
「そ、そうだよ。知ってるでしょ」
ほっと息を吐く。話し合いで解決できそうだと思って一歩前に踏み出dha epaすと「でも、野良精霊なんて少ないほうがいいじゃない」と彼女はその気持ちを裏切るように言い放った。
「……え?」
「野良精霊がいっぱいいるとみんな困っちゃうわ。ねぇミモザ、法律は大事だけど、それだけじゃなくてその意味をきちんと考えるべきだと思うの。きっと無茶して傷つく人を減らすために制限があるのよ。だから、わたしは強いから大丈夫」
彼女は花のように美しく笑う。ミモザの喉はからからに乾いて呼吸が苦しくなる。
「なに、言って、」
「わたしは20匹以上狩っても大丈夫よ。怪我も全然していないもの。ああ、でもミモザは大変だと思うから真似しちゃダメよ」
息が苦しい。心理的なストレスで呼吸が浅くなっているのだとミモザは思い、意識して深く息を吐いた。そして吸う。
「お姉ちゃん、違うよ。制限があるのはね」
そこまで言いかけて言い淀む。野良精霊の絶滅を防ぐためだ。エネルギーの補填のために、国と教会はある程度の野良精霊の繁殖を推奨している。しかしそれは公式見解ではなくただの暗黙の了解だ。みんな薄々察してはいるが、根拠となるものは何もない話だった。人に被害があるかも知れないにも関わらず、野良精霊を増やしていいなどと、国も教会も立場上おおっぴらに言えはしない。
「なぁに?ミモザ」
「の、野良精霊は絶滅しちアントシアニンの効果ゃいけないんだよ。魔導石が枯渇したらみんなが生活に困っちゃうでしょ」
「何を馬鹿なことを言ってるの、ミモザ」
鈴の音を転がすような軽やかな声で姉はころころと笑う。
「そんなこと誰も言ってないわよ。話を作っちゃだーめ。だったらなんで教会は守護精霊を野に放つことを禁止しているの?野良精霊が増えると困るからでしょ?」
「それは、」
「ミモザ、羨ましいんでしょ」
ステラはにこにこと続ける。
「自分がたくさん狩れないから、お姉ちゃんにもやめて欲しいんでしょ。だめよ、人の足を引っ張るような真似をしちゃ」
ひゅっと息を飲む。話が通じない。元々天然で話が意図した形で伝わらないことはあったが、今回の件は天然だから仕方がないで済ませられる問題じゃない。
「お姉ちゃん、法律違反はダメだよ。お巡りさんに捕まっちゃうよ」
「大丈夫よ。話せばわかってくれるわ」
ミモザは首を横に振る。何度も、何度も。
その仕草がゲームのミモザが死ぬ直前にしていた動作と重なって、ミモザは動きを止めた。
目をつむる。息を吐く。
「チチッ」
「そうだね、チロ」
ミモザは同意した。
チロは、もうダメだ、見捨てよう、と言った。
覚悟を決めて、ミモザは姉を睨む。ゲームのミモザは優しかった。体を張って姉を止めようとしていた。けれどその結果がすべてを奪われて死ぬだけなのだと今のミモザは知っている。
そして申し訳ないが、今のポリ ペプチドミモザは姉のために濡れ衣をかぶるだなんてごめんだった。
「お姉ちゃん。僕は忠告したよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、僕は貴方の」
訝しげな表情を浮かべる姉の顔を見つめて、ミモザは宣告した。
「敵だ」
。サプリメント マカ亜鉛 サプリ おすすめマカ と は
第4の塔の中身亜鉛 の サプリ
第4の塔の中身は見渡す限りの草原だった。とこアントシアニンの効果ろどころに沼地があるものの遮蔽物が何もないだだっ広い空間の真ん中で、彼らは身をdha epa寄せ合って座っていた。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
その集団の中ゴーヤにあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったからだ。
彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以上、マシューには子ども達dha epa dhaを守る責任がある。
「塔の開放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」
その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
マシューの推測ではあの老人はおそらく保護研究会の過激派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつマカ と はかない。この立てこもり行為はあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
マシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーになって欲しかった。
マシューは自身の守護精霊である白い毛をしたゴーヤ チャンプルー子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
元気なのはロランだけだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激をしたら……」
襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がしゴーヤた。
「き、キース!」
マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
その時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンの下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
マシューの叫びとロランのポリ ペプチド高笑が重なった。
ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
呆然と見つめるマシューの目の前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
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レオンハルトかマカ サプリ
レオンハルトから見て弟子マカ サプリであゴーヤるミモザはバカである。
いや、決して頭が悪いわけではない。ないのだが、なんというか行動がバカだ。
(何をやっているんだ、一体)
窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽マカしそうに鳴いている。
実に麗しい朝の光景だ。
目の前にぶら下がる大量の謎の黒いぼんぼんと、それを脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなければの話である。
レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍子に髪が揺クロムの効能れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
その光景はたいそう良い。
見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らしいのであるが。
「何を、やっているんだ、君は」
レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々こうクロムの効能してレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問題ないのだが)
ため息と共に布団を避け、ベッドに腰掛けた。
彼女はレオンハルトの指示には忠実だ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとこれである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女dhaは軽くうなづくとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っぷりである。
『おまじない』さえなければ。
こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しようとしてレオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにと思いまして」
すんでのところで口をつぐんだ。
これである。
これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
一言やめろと言えばやめるのだ、ミモザは。
ハンカチにしてゴーヤ チャンプルーも一応刺繍をする際に報告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
食事の支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりと歩きながら、レオンハルトは今日のハンカチを取り出して眺めた。
そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。
教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』クロムと。
(まぁ、方便だろうな)
目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。レオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
興味がなさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑した。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
すぐに閉じた。
一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
怒られそうなどと言っておきながら、その顔に浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合い、クロム受けていただけませんか?」
「お断りします」
間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
オルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待って待って待ってください、まだ帰らないで!」
レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
貴族がレオンハルトを取り込みたがっているように、教会側もレオンハルトを引き込みたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々亜鉛の効果と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
レオンハルトは、自身が誰かから愛されているという確信を得たことがない。
幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場であったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたことも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
そんな人間を大切に思う人などいない。
(いや、もしかしたら)
彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望す亜鉛の効果るそぶりを見せない彼女ならば。
レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
彼女ならば、レオンハルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
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第3の塔は高dha epa dha
第3の塔は高いゴーヤ チャンプルー岩壁に囲まれるようにして亜鉛ぽつんと立っていた。それゆえに岩山を登るか洞窟を通るしか辿り着く手段がないのだ。周囲にはごつごつとした岩が転がっている以外は特に何もない。第3の塔は薄汚れた灰色をしていて周囲と色合いが同化してしまってゴーヤ チャンプルーいた。他の塔もそうだったがとても中に広大な空間が広がっているとは思えないようなちゃちな外観だ。そしてその塔のたもとには入場手続きを待つ人々が列をなしており、何故かそこから少し外れた位置にステラとアベル、そして見知らぬ少女が立っていた。
「あ、あれ、ミモザさんのお姉さんですよね」
「しっ!」
ぽけっと指差すジーンを手で制して近くにあったアントシアニンの効果岩の影へと隠れる。
「何してるんですか?」
「いいですか、ジーン様。ジーン様はご存じないと思いますが僕と姉は不仲なのです。そして先日とうとう決別宣言を致しました」
「決別宣言……」
「僕が一方的に」
「一方的にって……」
ジーンは呆れたように嘆息する。
「何があったかわかりませんが、兄弟喧嘩はほどほどで仲直りしておいたほうがいいですよ。今後も顔を合わせる機会があるんですから」
「兄弟喧嘩だけならそのご意見は一考の余地があるんですけどね」
これまでの色々な事情をジーンに説明する気はミモザにはない。面倒臭いからである。
「まぁ、放っておい亜鉛てください。あ、もし塔に行かれるのでしたら僕の存在は伏せてくださいね。僕は顔を合わせないようにここで少し待ってから行きますんで」
「はぁ……」
「お願いします!!」
その時、何かを言いかけたジーンの声を、少女の声が遮った。見ると何やら彼女はステラとアベルに頭を下げている。淡い赤毛をおさげにした可愛らしい少女はその目に涙を浮かべていた。
「……なんでしょう」
「さぁ?」
ミモザとジーンはその光景に首をひねる。見守っているとステラは周囲の人々の迷惑にならないように慮ったのか、少女を手招くとなんとミモザ達の方へと移動してきた。
「うえっ」
「ちょっと!」
思わず慌ててジーンの手を引くと一際大きな岩の裏へと引っ張り込んだ。ジーンは非難の声を上げたが知ったことではない。
(あぶねぇ)
どきどきと動揺する心臓をなんとか落ち着かせてゴーヤいると、よりにもよってステラ達はミモザ達の隠れている岩の前で足を止めた。
「ここなら大丈夫ね」
もう一度入場手続きをしている人々を見てステラは言う。それに一体なんの話だと疑問に思いながらミモザは聞き耳を立てた。
「それで、どういうことなの?お願いっていうのは?」
「お姉さん達、これからあの塔に入るんでしょ?」
意を決したように少女は話し出す。小さな拳をギュッと握り、その肩には緊張したように力が入っていた。
「薬草を、取ってきて欲しいの」
「どうして?」
不穏な会話だ。ミモザは眉をひそめた。しかし会話はミモザの心境など無視して進む。
「お母さんが……、病気なの。その病気を治せる薬がここにしか生えてないって……」
「お薬を買うお金がないの?」
彼女は勢いよく首を横に振る。
「あるよ!でも……」
確かに言葉の通り、少女の着る服の生地はしっかりとしていて上等な物のように見えた。薬代が払えないほど困窮しているようには見えない。彼女は唇を噛み締める。
「お薬がないのゴーヤ チャンプルー。数がとても少ないんだって。だからずっと順番待ちで……。お医者様はすぐに容態が悪くなることはないから大丈夫だって言うけど……っ」
そこでぐすっ、と少女は鼻を鳴らした。ミモザからは角度的によく見えないが、泣いているようだ。
ステラは少女を安心させるように微笑むと、地面に膝をついて目線を合わせ、彼女の背中を優しく撫でた。
「そうなの。それでここまで来たのね。頑張ったわね」
泣きながら少女はうんうんと頷く。
「頑張ったのっ、ここに来るために第2の塔にも行って……っ」
そう言って少女が見せた右手の甲には銀の花弁がついていた。
「………」
ミモザは思わず遠くを見つめる。あんないたいけな女の子が銀の祝福を持ってるというのに、みっちりと3年修練を積んだはずのミモザはといえば……、
「あっ、だめだ。心が折れそう」
ブロークンハートである。
「まぁ、祝福のランクが全てじゃありませんから」と右手の甲が銀色の花弁できらきらしているジーンが慰めるように言った。
思わずその額をデコピンする。
ジーンが無言で悶絶するのにちょっと溜飲を下げて、ミモザは改めてステラ達の様子を伺った。
(まさか、引き受けたりしないだろうな……)
しかしそのまさかは起こった。
「わかった亜鉛の効果わ」
ステラは頷いた。
「本当!?」
少女は顔を輝かせる。それにステラは微笑むと、目を合わせてしっかりと頷いた。
「大丈夫よ、お姉さん達が薬草を取ってきてあげるからね」
「あ、ありがとう!!」
少女は感激したようにステラの手を握る。
(うええ……)
頭がくらくらする。ミモザは思わず後ずさってしまった。
じゃりっ。
一歩足を引いただけなのにその音は嫌に大きく響いた。
「誰だ?」
アベルが不審そうに誰何する。彼は警戒するように守護精霊を剣へと変えて、こちらへ向けた。
ちっ、と小さく舌打ちをする。本当なら見て見ぬふりをして逃げてしまいたかったが塔に行くにも帰るにも、姿を見せずに移動するということは困難だ。何より下手な行動をしてアベルに不審者と間違われて攻撃を受けるのはごめんだった。
「僕だよ」
声をかけて両手を降参するように上げるとミモザは岩影から姿を現した。
。ゴーヤ チャンプルーゴーヤクロムの効能
しかし突き亜鉛 サプリ おすすめ
しかし突き飛ばされた場所が悪かった。彼は起きあがろうとして地面に手をつきdha epa dha、その手が地面に飲み込dhaまれた。
「………っ!?」
草に隠れてよく見えないが、そこは沼であった。この第4の塔はところどころにわかりにくい沼が広がっており、歩ける地面はちゃんと目で見ればわかるようにはなっているマカ サプリものの、よく注意していないと足を踏み外してしまう危険がある。野良精霊に襲われたり、転んだら最後、底なし沼から自力で這い出るのは困難である。
「捕まって!」
ステラとマシューは駆け寄るとその手を掴んで引っ張り上げた。ずるり、と泥まみれの男の子が沼から引きずり出される。
「大丈夫か?」
マシューが尋ねると堰を切ったように少年はアントシアニン大声を出して泣き出した。そのままぐずぐずと話し始める。
いわく、今のは学校のクラスメイトであること、
いわく、いじめられていること
いわく、無理矢理連れてこられて突き飛ばされたこと
「……ひどい」
ステラは表情を曇らせる。
「下手をしたら生死に関わるな」
マシューも難しい顔でつぶやいた。
ここは第4の塔である。野良精霊も出現する塔だ。
「……教会騎士の管理はどうなっているのかしら。こんな子を中に通すだなんて、万が一があったら……。いじめも見抜けないだなdhaんてやっぱり管理方法はもっと厳重にするべきだわ」
ステラは憤然と言った。それにマシューは困ったように眉をさげる。
「いじめかどうかの判断は難しいよ。本人達が違うと言ったら、資格を満たしていた場合は塔に受け入れざるを得ない」
「でも塔は危険な場所なのよ? ここがあるせいでただのいじめが殺人になってしまうかも知れない! ちゃんと抗議しなきゃ!」
「ちょ、ちょっと!」
そのまま出入り口を管理する騎士に突撃しようとするステラをマシューは慌てて腕を掴んで止めた。
「まずは男の子に怪我がないか確認させてくれ!」
そう言ってマシューは男の子の全身を確認すると、小さな擦り傷を見つけてそこに手を当てた。
柔らかい光がじんわりと灯って傷が早送りクロムの効能のように綺麗に塞がる。
「大丈夫かい? 他に怪我は?」
「だ、だいじょうぶ……」
「そうか、大変だったな」
なんとか泣き止んだ泥まみれの少年をよしよしと自身が汚れるのも厭わずにマシューは撫でる。少年の目はその優しさに再びうるみ始める。
「あ、あー…、うちには帰れそうか? 送っていくか?」
「ひぐっ、か、帰れるぅ」
「じゃあ入り口まで一緒に行こうか」
3人で時々少年の泥を落としてやりつつ出入り口へと近づくと、入場管理をしている騎士の中で若い騎士がその様子に気づいて走り寄ってきた。
「どうされました? 救助は必要ですか?」
「もう怪我は治したから問題ないよ、でも事件として報告をあげてもらいたい」
事件、の言葉に彼は息を呑む。
試練の塔の内部では原則利用者同士の揉め事は御法度である。事件というのは野良精霊や試練による負傷以外の人為的な被害を意味していた。
マシューが詳しく報告をしよ亜鉛 サプリうと口を開くと「そうなの!」と元気よくステラが先に言葉を放った。
「この子、学校のクラスメイトにいじめでここに連れてこられて沼に突き飛ばされたのよ! 今回はたまたまわたし達が見ていたから良かったけど、そうじゃなければ今ごろ命に関わってたかも知れない! どうしてこの子達のことを中へ通したの? 怪しいとは思わなかった?」
「どうしてって……、その、明確な理由がないと拒むことはできませんので……」
若い騎士は戸惑うように言葉を濁す。それにステラはむっと眉を寄せた。
「貴方達は問題意識が低いわ。塔の管理が甘いせいでただのいじめが殺人事件になるところだったのよ。危険な塔の管理を任されているんだから、それなりの……」
「ステラ!」
マシューが鋭く遮る。それに騎士はほっと息をついた。
「どうしたの? マシュー」
ステラはそれに訝しげに返す。マシューは呆れたように首を横に振った。
「どうしたのじゃないよ、彼を責めるのは筋違いだ」
その言葉にきょとんとして、少し考えた後にステラは頷いた。
「そうね、教会の管理体制の問題だもの。もっと上の立場の人に言うことよね」
「それはそうだけどそうじゃなdha epaいよ」
ふぅ、とマシューは疲れたようにため息をつく。
「例えばの話だけどさ、今回はいじめに塔が使われたけど、彼らがこの子を川に放り込むことだってあり得たとは思わないかい? 誰にでも近づくことのできる川の管理が甘いとその地域の役所を責めるのはちょっと無理があるだろう? 今回のもそれと同じだよ。悪いのはいじめというイレギュラーな行動をする連中で教会騎士にすべての問題の検出は不可能だ。そりゃあ
川に柵を立てたりはできるだろうけどそういう奴らは柵を乗り越えて同じことをするだろう。今回のは事故じゃなくて事件だからね。報告して改善策は練った方がいいだろうけどそんなに喧嘩腰で言うようなことじゃない」
「……っ、でも!」
「君が今回の件を真剣に考えてくれているのはわかるよ」
マシューはなだめるように笑いかける。
「けど一つのことにこだわり過ぎて他の人の都合に盲目になるのはよくない。……まぁ、俺が言えたことじゃないんだけど」
「……ミモザみたいなことを言うのね」
ステラの言葉に彼は「うっ」とうめいて胸を押さえた。
「ま、まぁ、受け売りなのは否定しないよ。あんな残酷に人のメンタルをえぐる奴にあんまり感謝はしたくないけど、まぁ、いっぺん精神的にぶん殴られたおかげで視野は広がったよね……」亜鉛
ああ、あの時の騎士団の人間はこういう気持ちだったのかなぁ、とマシューはうつろな目でステラにはよくわからないことをぶつぶつとつぶやく。
「どうして……」
ステラはそんな彼を呆然と見つめた。頭の中で『何か』がおかしいと騒ぐ。
おかしい。村ではみんなステラに同意してくれたのに。おかしい。ミモザの言うことばかり優先されるなんて。おかしい。アベルがステラのことを否定するなんて。おかしい。マシューがステラの言葉を受け入れないなんて。
おかしい。
(前はこう言えば喜んでくれたじゃない)
そこまで考えてステラははっと我にかえる。
(『前』ってなに?)
頭がずきずきと痛む。マシューとはこれが初対面のはずだ。
「ステラ?」
頭を押さえて黙り込むステラに、マシューは不審げに声をかけた。
「頭が痛むのか? どこかにぶつけた?」
「……いいえ、なんでもないの」
ステラはにっこりと笑う。本当はなんでもなくなんてない。ステラは傷ついている。マシューが裏切ったからだ。
(裏切るってなに?)
「ちょっとめまいがしただけなの。この後に用事があったのを思い出したわ。あとは任せてもいいかしら?」
「え? あ、ああ、大丈夫だよ。お大事に」
ステラは少年とマシューに微笑みかけ、ついでに若い騎士を見た。彼はその視線に嫌そうに身をすくめる。
(わたしが悪いみたいな顔をしないでよ)
不愉快な気持ちがステラの中で渦巻く。けれどそれ以上は何も言わずに立ち去ることをステラは選択した。
これ以上今のマシューと言葉を交わdha epa dhaしたくはなかった。
。アントシアニンの効果マカ サプリマカ
「疲れた…クロム
「疲れた……」
よろよろとミモザはレオンハルト邸の扉を開亜鉛亜鉛 サプリけた。
なんだか色々と濃い時間を過ごしてしまった。
とりあえず顔に塗りたくった染料は泳いでいる間に落ちたが、可能ならお風呂に入ってすっきりしたいところである。
(まずはお風呂、次に何か飲んで、ベッドで寝る)
亜鉛 の サプリ やりたいことを夢想しながらふらふら歩いていると、
「ミモザ」
背後から声がかけられた。
「レオン様」
今は流石に修行する気にはなれないなと思いつつ振り返ると、彼のそばには白い軍服に身を包んだ教会騎士が立っていた。
嫌な予感がする。猛烈に。
そしてそんな予感ほどよく当たるものである。
「ちょうどいいとアントシアニンの効果ころに帰ってきたな。これから教会に一緒に来てくれ」
「えっと、何があったんですか?」
恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトはいかにも不愉快といった表情で答えた。
「ジーン君とマシュー君が失踪した。おそらくは君の姉、ステラ君のもとにいる」
ミモザはあんぐりと口を開けた。
「皆さんお聞き及びかとは思いますが、先だっての精神汚染事件の被害者であるジーン君とマシュー君の二名が失踪しました」
そうオルタンシアは重々しく口を開いた。
場所はいつも通りのオルタンシア教皇の執務室である亜鉛。もはや恒例かと思われるメンバーがそこには揃っていた。すなわち、ミモザ、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤである。
「それと同時に、彼らと思しき人物がステラ君と思しき人物と連れ立って歩いている姿が目撃されています。証言では彼らはとても仲睦まじそうな様子だったとのことです」
ダンッと壁を叩く音がした。フレイヤだ。
彼女は悔しげな顔で嘆いた。
「ジーン! あれほど変な物は食べないようにと言ったのに!」
「妙だな」
「ええ、妙な話です」
ガブリエル、オルタンシア両名はそれに冷静に告げる。
「一度目はともかく、二度目です。彼らも馬鹿じゃない。差し出されたものを食べるとは思えません」
「何か別の手法で摂取させられたということですか」
ゴーヤレオンハルトの問いに、
「その可能性が高いでしょう」
オルタンシアは頷いた。
(別の手法……)
ミモザは考える。
(一体どんな?)
あれは経口摂取以外の方法がないと前回の時にオルタンシアから聞いていた。それもそこそこの量を取らなければならない。そのためにバーナードは飴という形で砂糖で味を誤魔化して食べやすくしたのだろうとのことだった。
「何にせよ、このまま放っておくわけにはいきません」
「俺が行きましょう」
その言葉にレオンハルトが前に進み出た。
金色の瞳が、静かにオルタンシアを見つめる。
「確実に捕えるために」
「……そうですねぇ」
「僕にも行かせてください!!」
決まりかけそうな気配に、慌ててミモザは挙手して訴え出た。
姉の関わることで除け者になるなどごめんだ。
(それになにより)
ミモザはレオンハルトのことを心配げに見上げる。
ここで何もせず、万が一のことがあっては悔やむに悔やdha epa dhaみきれない。
レオンハルトが戸惑うように彼女を見た。
「ミモザ、しかし……」
「僕にも行かせてください。必ずお役に立って見せます」
じっと確かめるように金色の瞳がミモザを見下ろす。それに負けじとミモザは見返した。
しばらく二人は見つめ合う。それは根比べにも似ていた。
「………いいだろう」
諦めたように先に目を逸らしたのはレオンハルトだった。彼はふぅ、と息をつく。
「レオン様!」
「ただし」
喜びに口元を緩めるミモザにレオンハルトは釘を刺す。
「俺の指示に従ってもらう。君のことだから大丈夫だとは思うが……」
「はい」
レオンハルトの言いたいことを察して、ミモザは静かに頷いた。
「貴方の指示に従います。足は引っ張りません」
「よし」
レオンハルトは弟子の物分かりの良さに満足げに頷くとオルタンシアの方を向いて「我々で対応します」と告げた。
それにオルタンシアが頷く前に、ずいっと割り込む人影がある。フレイヤだ。
彼女は堂々とその豊かな胸を張ると「当然だけど、わたくしも行くわ」と宣言した。
「オルタンシア様」亜鉛 サプリ
そして銀色の目を細めてオルタンシアに問いかける。
「洗脳を解く方法は、薬が自然に排出される以外にないのですか?」
「そうですねぇ」
それは重要な質問だった。オルタンシアは難しい表情で記憶を探るように目を瞑る。
「……目には目を、歯には歯を、精神には精神を。強い精神的ショックを与えれば目を覚ます例があったと書物には書いてありましたね」
「わかったわ! 精神的ショックね!」
フレイヤはその情報に鼻息荒く頷く。
(精神的ショックかぁ……)
色々とやりようがありそうだな、とミモザも一つ納得するように頷いた。
。dha epa dhaポリ ペプチドアントシアニンの効果