今、レオン亜鉛の効果

 今、レオンハルトはゴーヤ チャンプルー最大の危機に直面していた。
 それはいつもの業務のはずだった。野良精霊のdha異常な大量発生が生じたため、それを退治しに来たのだ。落ち込み気味だったミモザも調子を取り戻させるためには良かろうと連れてきてみれば、そこにはーー、
 うぞうぞとうごめく、黒光りする例の虫が大量にひしめいていた。
 何故か森の窪地に大量発生している『ゴ』から始まdha epaる4文字の虫の姿に、レオンハルトは鎮痛な面持ちになると顔を手で覆った。
 
(死にそうな顔色だなぁ)
 そんな師匠の様子を隣に並んで一緒にその光景を見下ろしながら、ミモザは見守っていた。
 さもありなん、と思う。虫が得意なミモザですら若干気持ち悪いほどの量である。嫌いなレオンハルトに至っては言うまでもないだろう。
 レオンハルトの心情は察するにあまりある。
 やっと気を取り直したのか、レオンハルトはふアントシアニンの効果ぅ、と小さく息をつくと、
「ミモザ、いけ」
 据わった目で指示を下した。
「アイアイサー!」
 心得たと言わんばかりにびしっ、と敬礼を決めてミモザはメイスを構える。
(新技を使おう)
 最近地道な努力の末に手に入れた新しい毒技である。
 ステラに負けて足を負傷し、しばしの余暇期間があったミモザは塔攻略のかたわら新たな毒を出せないか練習していたのである。
 そしてその結果手に入れた新たな毒、それはずばり『麻痺』である。
 とはいえ以前の毒同様、大した効果はなく、せいぜいがなんかピリピリするくらいである。しアントシアニンいていうなら指先の繊細なコントロールが狂うことがあるかも知れない。
 しかし虫相手なら人間相手よりかは効くだろう。
 いちいちこの数を傷つけるなど馬鹿らしいので今回はMPの節約をやめて空気中に毒を放出することにした。
「見よ! これこそ僕の新技!!」
 誰ともなしに告げるとはっ、と気合いを入れてミモザはメイスを前に突き出す。
 とたんにメイスの周辺にいる虫達がバタバタと倒れて動かなくなった。
「………」
 ミモザは無言でしばらくメイスを蠢く虫目掛けて左右に振る。気分はスプリンクラーである。
 しばらくそうしているとやがて全ての虫が動きを止めた。
 ミモザはぐっとガッツポーズを決める。
「見てください! レオン様! 僕の新技、その名も『殺虫剤』です!!」
マカ「素晴らしい!」
 レオンハルトは心の底から称賛するように拍手をした。

「それで、ミモザ。その後はどうだ」
 その質問が先日落ち込んでいたことを慮ってのことだとはわかっていた。
「ご迷惑をおかけしました」
 ミモザは丁寧に頭を下げる。その杓子定規な返答にレオンハルトはむっと顔をしかめた。
「そのようなことは聞いていない」
「おかげさまで立ち直りました。第3の塔の攻略にも行ってきましたよ」
 ステラとのいざこざがあってあの時は結局中に入れなかった第3の塔である。あの塔の中に入ると、そこにはジャングルが広がっていた。
 肝心のその試練の内容はというとーー、
 ミモザはげんなりと思い出す。
 高速移動で走り回るなんかよくわからない植物の捕獲である。
 奇声をあげながら走っているので特に見つけるのは難しくないのだが、とにかく逃げ足が早くてなによりも走る姿が気持ち悪い。
 紫のまだら模様の花弁に黒に近い緑色をした茎、赤クロムい葉っぱを腕のようにうねらせながら高速で根っこを足のように回転させて走り回る姿は、はっきり言ってただの怪異である。
 めしべに当たる部分の色が金銀銅のいずれかであり、それで祝福のランクが決まるのだが、なにしろ走り回っているものだから捕まえてみるまでその色がわからない。
 元気よく塔の壁を駆け登る姿にここに梯子があればと思い、捕まえる時に触りたくなさすぎて網があればと願う。
 もしかしたらその切なる願いが合成の技術を得るために必要なのかも知れない。
 捕まえてみるとそれはちょっと湿っていてぬるっとしていた。そのうごめく植物の中央部が銅色なのを見て、ミモザは迷うことなく無言で最上階へと向かった。
 もう捕まえたくなかったからだ。
 ちなみに奇声のように思えた音は葉っぱが擦れて起こる音だったらしい。あまりにもその動きが鬱陶しすぎてその胴体である茎の部分を葉っぱごとぎゅっとわし掴んだ際に音が出なくなって判明した。特に知りたくはなかったが最上階まで行く途中に他の試練を受けている人がどうしたら大人しくなるのかを尋ねてきたので教えることができたのはまぁ、善行だっただろう。
 遠い目をするミモザに第3の塔と聞いて色々と察したのかアントシアニン「そうか」とレオンハルトは頷いた。
「ちなみにレオン様はその、この塔を攻略した時にあの植物は……」
 一体どうしたのだろう、と思って尋ねると「ああ」とレオンハルトは軽く頷いた。
「殺して持っていった」
 真顔である。
「…………」
「厳密には殺すと言う表現は誤りだな。知らないのか? あの植物は生物ではない。祝福のために作られた何かだ。その証拠に最上階まで上がったら姿が鍵に変わっただろう」
「え、あ、はい……」
 それはそうなのだが、あの得体の知れない植物を殺す度胸はミモザにはない。
 なんだか祟られそうな怖さがある。
 やっぱりすごい人だなぁとその思い切りの良さと迷いのなさに感服しつつ、あの謎の植物が平気でゴキブリがダメなのは何故なのだろう? と首を傾げた。
(何かトラウマでもあるのだろうか……?)
 ミモザにはちょっと理解できそうになかった。
亜鉛 の サプリdhaマカ サプリ

 周囲は喧騒に包アントシアニンの効果

 周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時刻のため人の往来も激しい。故郷の村では決しクロムて見ることのできない賑やかで華やかな街の様子ポリ ペプチドをステラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「お嬢ちゃん、計算が終わったよ」
 年配の店主がゆっくりと亜鉛の効果店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良精霊を倒すのも手間はかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすこ亜鉛の効果とができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに同情するには十分かも知れない。
 上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一ゴーヤ チャンプルー日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎ亜鉛の効果はいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のせせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわクロムからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉ゴーヤ チャンプルーを開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第亜鉛の効果1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
マカdha亜鉛の効果

(どうして、わたポリ ペプチド

(どうして、わたしが……)
 詰め所から出てサプリメント マカ亜鉛テラは悲しげに目を伏せた。
 対応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだ。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかクロムの効能い? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
 あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにdha epaするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
 言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていゴーヤ チャンプルーると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
 彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
 ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
 他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
 ひと足先に釈放されていたの亜鉛の効果だろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
 アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
 確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
 そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
 諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺マカにはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
 ステラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
 反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
 アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
 噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
 ステラは何も答えなかった。
亜鉛亜鉛 の サプリゴーヤ

 晴れて不亜鉛 の サプリ

 晴れて不登校児となったミモザの朝はーー遅い。
 太陽がほぼマカ サプリ頂点付近へと昇った昼頃にごそごそと起き出し、まずは姉がもう学校に行って家にゴーヤいないことを確認することから一日が始まる。
 不登校生活の恩恵はいじめがなくなったことだけではなく、生活サイクルがずれたことにより姉と顔を合わす機会が減ったということもサプリメント マカもたらしてくれていた。
 母も仕事に出かけており不在のため、一人でのんびりと遅い朝食をとる。母も忙しいためご飯の準備はしなくてもいいと伝えてあり、毎朝パンを軽くトースターで焼いて食べていた。
 鼻歌を歌いながらパンをできる限り薄く切り、トースターにセットする。
「……?」
 スイッチを押しても動かないことに首を傾げトースターをためすがめす眺めていると、魔導石が黒くなっていることdha epa dhaに気がついた。
「あー……」
 うめきながらリビングへと戻り、棚から白い魔導石を取り出すとトースターの中の黒いものと交換する。問題なくトースターが動き始めたことを確認してからミモザは黒くなった魔導石を魔導石用のゴミ箱へと捨てた。
 魔導石というのはこの世界における電池のようなもので、これによりすべての機械は動いている。色は透明なほど純度が高く、内に含むエネルギー量も一度に出力できるエネルギー量も多いらしいが、まぁ一般家庭にある魔導石など白く濁ったものが普通である。エネルギーが切れると黒くなるため黒くなったら取り替え時だ。
ゴーヤ チャンプルー(……電池?)
 ふと疑問を覚える。それはこの世界にはない概念だ。
 前世の記憶を思い出した時は色々と朧げでゲームのことしかわからないと思っていたが、どうやらエピソードが欠落しているだけで知識は覚えているようだ。無意識に変な言葉を口走らないように気をつけなければ、とミモザは脳内に注意事項としてメモをした。
 そうこうしている間にチン、と軽い音と共に焼き上がったトーストを手にテーブルへと向かい、これまた薄くキイチゴのジャムを塗る。
 ちなみにミモザ達に父はいない。いわゆる母子家庭である。ゲーム内では特に父親の存在に言及していなかったが、ミモザ達がまだ5歳くらいの時に亡くなったようだ。
 そのためそこそこに貧乏な家庭である。それでも一般家庭とあまり変わらぬ水準で生活できている理由はここが田舎の村で亜鉛の効果あり、食べ物は家庭菜園や森からの採取、近所の方からのおすそ分けで賄えているからだろう。
 食事の後は庭に出て家庭菜園の手入れをする。草をむしり水をやるとそれぞれの野菜の育ち具合を見てうむうむと満足げに頷き、食べられそうなものでめぼしいものを収穫していく。きゅうりとキャベツが食べ頃だったため昼食用に採取する。
(今日はキャベツとベーコンのパスタときゅうりの和物だな)
 ふー、と満足げに額の汗をぬぐう。汗がきらりと陽の光に反射した。
 学校に通わなくなったミモザの生活は実に充実していた。
「チゥー」
 胸ポケットに入っていたチロが不満そうに『最強の精霊騎士はどうした?』と聞いてきた。
 それにミモザはサムズアップで応える。
「大丈夫!ばっちり考えてあるから!」
「チー……」
 本当かなぁ、とチロは不信げにつぶやいた。

 部屋の窓は閉め切られていた。暗い色のカーテンがしっかりと外からの光を遮断し、室内は真っ暗で淀んだ空気がアントシアニンただよっている。
 中央には蝋燭が3本ほど据えられ、そこを中心として不思議な図形を組み合わせた陣のようなものが描かれた布が敷かれている。
 のっそりと部屋の隅の暗闇から、シーツをまるでローブのように身にまとった人物が現れた。
 ミモザだ。
 その手にも燭台が一つ握られており彼女の動きに合わせてゆらりゆらりと光の波紋が部屋中に広がっていった。
 普段は白い肌は蝋燭の灯りで橙色に染まり、ハニーブロンドの髪がきらきらと光を放つ。伏せられたまつ毛にもその光が反射し、神秘的な煌めきをその身に纏っていた。
 彼女は陣の縁へとひざまずくと手に持った燭台をゆっくりと掲げる。
 そのまま緩慢な動作でその手を左右へと振った。
「はぁーー、我に力をーー」
 そのまま低く作った声で唱え始める。
「力をーー与えたまえーー」
 ぶんぶんと上半身を左右に揺する。その姿はまるで深海で揺れるチンアナゴだ。
 チロはもはや呆れて何も言わず背後からそんな相棒の姿を眺めるだけである。
 止める人間のいないミモザはどんどんヒートアップしていく。
「はぁーー、我に力をーー…」
 ぐるんぐるんと頭を揺らしながら調子に乗っていると、その時背後でかちゃり、と小マカ と はさな音がした。
 チロが振り返り目を見開く。
 慌ててミモザへと駆け寄るとその足に齧り付いた。
「いたたたっ!もう何、チロ。今いいところ……」
 言って振り返った先でーー、
 真っ青な顔をしてドアの隙間からこちらを見ている母親の姿を見た。
 真っ青な顔をしてミモザも固まる。
 しばしその場に沈黙が落ちた。
 先に動いたのは母、ミレイの方だった。彼女は手に持っていた荷物を取り落とすと両手で顔をおおった。
「ごめんね、ママ、ミモザは少しずつ元気になってきてると思ってたんだけどちょっと楽観的すぎたね」
「ち、違うよ、ママ!これはね!」
「無理しなくていいのよ、ミモザ。ママに相談しづらいようだったら他の人でも……、カウンセラーとかに行きたかったらママが探してあげるからね」
「違うんだって!これはおまじないなの!僕が強くなるためにね!お祈りをしてたの!」
「そう、おまじない……」
「そう!おまじない!」
 二人はしばし無言で見つめ合った。
 そしてミレイは何かを飲み込むように一つ頷くと、聖母のような微笑を浮かべた。
「そうなのね、ミモザ。それが貴方に必要なことならママは受け入れるわ」
 なんだかすごく誤解されている気がする。
 しかしそれ以上なにも弁明する言葉が思いつかず、ミモザは「ありがとう、ママ」と冷や汗をかきながら言うのが精一杯だった。
クロムの効能クロムの効能クロムの効能亜鉛 サプリ おすすめ

 それが起こアントシアニン

 それが起こっマカ サプリたのは、ある意味必dha epa然であったのかも知れない。なにせ予兆はあり過ぎるほどにあった。
 しかしすべての災難は最悪なことに同時に訪れたのだ。
「どういうことです?」
「そのままですよ。困ったことになりました」
 連絡を受けてかけつけた亜鉛 サプリレオンハルトとミモザに、沈痛そうに額に手を当ててオルタンシアは言った。
「立てこもり事件と野良精霊の大量発生が同時に起きました」
 息を飲む。二の句が継げないミモザに代わり、レオンハルトは「立てこもり事件というのは?」と尋ねた。それに教皇は無言である手紙を差し出す。それはとても丁寧な犯行声明であった。

亜鉛 の サプリ第4の塔に長期滞在致します。大人7名、子ども3名、計10名にて実施いたします。試練の塔被害者遺族の会』

「閉鎖しないのならば立てこもりを止める権利はない、といいたいのでしょう。まぁ実際、入場資格のある者が何日間滞在しようと規制するルールは存在しません」
「いや、大人はともかく子どもはだめってルールだったはずでしょう」
 ガブリエルがうめく。それにオルタンシアは力なく首を横に振った。
「入場管理を担っている人間を脅しつけて無理矢理入ったようです。マカ と は厄介なのはここで彼らに死者でも出ようものならこちらの管理責任が問われることです」
「なぜ急にやり方を変えたのでしょう?」
 フレイヤが尋ねる。確かに、コラムを書いて人々の同情を引こうという最初の手段からは、随分とかけ離れた強引な方法であった。
「先日の…、レオンハルト君の件が効いているのかも知れません。彼女はレオンハルト君を取り込むのに失敗しましたから」
「それにしてもあまりにも手段のベクトルが違いすぎる」
 レオンハルトの訝るような言葉にミモザも無言で頷いた。最初の戦略はなんとも慎重で自分たちに利があるように上手く立ち回っている印象だったが、今回の件はあまりに強引すぎアントシアニンておそらく被害者遺族の会に世間はマイナスのイメージしか抱かないだろう。
「仲間割れ、でしょうか?」
 首をひねるミモザに、レオンハルトは「そうだな」と思案した。
「少なくともジェーンを影で操ろうという人間が2人以上はいるのかもしれない。彼らはそれぞれ意思の連携ができていないか、片方が功を焦りすぎたか」
「どちらにしろ重要なのは、このような自分自身を人質として盾にするようなテロリズムに我々は屈するわけにはいかないということと……」
 オルタンシアは首を振る。
「野良精霊の討伐のほうが優先事項であるということです」
 確かに自らの意思で危険に飛び込んだ者と、なんの落ち度もないのに危ない目に遭いそうな者ならば、後者が優先して守られるべきだろう。
「野良精霊の方に王国騎士団、塔の方に教会騎士団で分担してーー」
「というわけにもいかないのです」
 オルタンシアはゴーヤ チャンプルー眉間を押さえる。
「現在だけでも野良精霊の被害が10ヶ所以上で報告されていて数は増える一方です。両騎士団一斉にことにあたっても被害をすべて食い止められるかどうか……」
 レオンハルトも難しい顔で腕を組んで考え込んでいる。ミモザはちらりと教皇の執務机の上を覗き見た。王都周辺の地図に赤い印がばらばらと点在している。これら全てが野良精霊の大量発生箇所だとしたら、確かにとても人手が足りないだろう。
「ミモザ君、行ってくれませんか?」
 ふいに声が響いた。オルタンシアからの急な名指しにびくりと震える。
「え?」
 その顔をまじまじと見つめるが、彼は真剣な表情を崩さない。
「両騎士団長は指示を出さねばなりませんから言わずもがな、レオンハルト君の戦力は野良精霊の方に必要ですし、英雄がテロリストの命を優先することははばかられます。しかし彼らを放置するわけにはいかない。ですから塔の方はミモザ君、君に任せられませんか?」
「……それしかないか」
 レオンハルトも難しい顔でそれに同意した。
「ミポリ ペプチドモザ、別に解決する必要はない。ただすべてを片付けて俺が駆けつけるまでの時間を稼いでくれ。第4の塔ならばお前の実力でなんとかなるだろう」
「はぁ、わかりました」
 つまりミモザは彼らの用心棒をして待っていればいいのだろう。いくら塔の中が危ないとはいえ試練に挑むわけではない。能動的に動かなければ危険も少ないはずだ。
「それなら、僕も行きます」
 手を挙げたのは爽やか少年ことジーンだった。
「戦力は多いに越したことはないでしょう」
(うーん…)
 その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は無言で首を横に振った。薄々わかってはいたが、どうやらレオンハルトは基本的に教会寄りのスタンスらしい。
「申し訳ありませんが……」
 案の定、オルタンシアは申し訳なさそうに首を振る。
「なぜですか!」
「塔の一度に入れる入場人数には制限があるのです。第4の塔は12人が上限です。これは我々が決めたものではなく塔がそれ以上の人数を拒絶するのです」
「なら僕もぎりぎり…」
「1人は連絡役に残しておきたいのです。中の状況が全く確認できなくなるのは困りますし、必要に応じて物資なども運ぶ必要が出るかも知れません」
 ジーンは悔しそうに歯噛みした。
 嘘ではないだろうがそれだけが理由ではないだろう。塔は教会の管理である。ミモザは教会寄りマカ サプリのレオンハルトの弟子だからいいのだろうが、王国騎士団団長の弟子の手を借りたくはないのだろう。それは国に借りを作ることと同義であるし、下手をすれば塔の管理について余計な横やりを入れられかねない。
 塔は金の卵を産む鶏のようなものだ。そのほとんどが塔の管理と維持費に消えるにしてもそこそこの収益にはなっているだろうし、なにより教会としては宗教的価値のある塔の利権を手放したくはないだろう。
「では、ジーンを連絡役にしましょう」
 その時フレイヤが強い口調で提言をした。王国騎士団側としてもこのような機会は見過ごせないらしい。
「ジーンならばいざとなればミモザちゃんと協力して戦えますし、王国騎士団に所属しているわけでもない。適任ですわ」
 名案と言わんばかりに花のようににっこりと笑うフレイヤに、そこが落とし所と考えたのだろう、オルタンシアは「では、お願いしましょうか」と苦笑した。
「ただし、君はあくまで連絡役です。それ以上のことは越権行為ですよ」としっかりと釘を刺すことは忘れなかったのはさすがである。
亜鉛 サプリ亜鉛 サプリ おすすめdhadha epa

 夜の帷も下りサプリメント マカ

 夜の帷も下り、月の光が室内にこぼれ落ちてきていた。貴重亜鉛 の サプリな蝋燭をいくつも燃やし室内は煌々ゴーヤと光っている。寝室のベッドであぐらをかき、酒の入ったグラスを傾けながらレオンハルトは、
 超絶不機嫌だった。
(どうしようかなぁ)
 すぐに空になったガラスに酒を注ぎながらミモザは無言で困る。こうなった原因につクロムの効能いては、話を昼頃にまでさかのぼる必要があった。

「少しお時間をよろしいでしょうか」
「かまいませんよ。俺になんの用事でしょうか?」
 そう声をかけたジェーンという女性に、レオンハルトは周囲をちらりと目線だけで流し見るとすぐに笑顔を作って鷹揚に頷いた。
(猫かぶりモードだ)
 随分と久しぶりに見た気がする。周りを見渡すとなるほど、通行人や近くのカフェにいる人などがこちらを見ていた。つクロムの効能いでにあれは記者だろうか、こちらに隠れているつもりなのかさりげなくメモ帳にペンを走らせている人もいる。レオンハルトは背も高く非常に目立つ人のため、衆目に晒される場所ではあまり素っ気ないこともできないらしい。
「私は試練の塔被害者遺族の会の者です。最近娘を亡くしまして入会致しました。エリザ、いえ、貴方にはわからない話なのでそのあたりは割愛させていただきますね」
「いえ、わかりますよ。3ヶ月前に亡くなられたエリザ嬢のお母様ですね」
 レオンハルトの返しに彼女は目を見張った。まさか前日に未発売のはずのコラムを読んで予習をしていゴーヤたなどとは予想だにしないだろう。
 彼女は思わぬ切り返しにしばし逡巡した後「では、どういった用件かはわかっていただけると思いますが」と前置きをして深々と頭を下げた。
「どうか、貴方様から教皇聖下に試練の塔閉鎖についてご進言いただけないでしょうか」
 それはかろうじて疑問形を取っているが、明らかな脅しであった。
(まずいなぁ)
 この状況が、である。大勢の人前で切々と訴え頭を下げる女性。要求は塔の閉鎖、盾に取られているのはレオンハルトの評判だ。これで突っぱねるような真似をすればレオンハルトが悪者である。この状況を見ると記者らしき男は実は仕込みではないかと勘ぐりたくもなる。
(レオン様に泥を被らせるわけにはいかない)
 幸いなことにミモザは公的な立場を持たない人間、しかも子どもである。ミモザの監督責任を問われることはあるかも知れないが、それでもレオンハルト自マカ と は身を追求されるよりは遥かにマシだろう。
 ミモザは一歩前に出ようとして、ぐっとレオンハルトに押し留められた。思わず彼の顔を見ると余計なことはするなと言わんばかりに睨まれる。
 大人しく一歩下がる。それを確認するとレオンハルトはその場に膝まづき、女性の手をうやうやしく取った。
「ご心痛、お察し致します」
「それじゃあ」
 要望が通ったのかと顔をあげた女性に、レオンハルトは痛ましげな表情でゆっくりと首を横に振った。
「本当に、なんとお詫び申し上げればいいか。俺が助けに行ければ……、すべてこのレオンハルトの不得の致すところです」
「えっと……」
 戸惑う女性の手を一際強くぐっと握りしめ、彼は女性の顔を真摯に見つめた。
「俺はできる限りすべての人を助けたいと思っています。しかしこうして力の及ばないことが未だにある。きっと今後もゼロにはならないのでしょう。しかし必ず!精進を重ね、このような不幸な事故を減らしてみせるとお約束致します!」
 その演説に周囲からは「おおっ!」と歓声が上がる。
(ポリ ペプチドうわぁ)
 稀代の詐欺師である。目には目を歯に歯を。レオンハルトはあっさりと話題をすり替え、それどころか周囲の民衆を使ってあっという間にその場の空気を変えてしまった。
 この空気では「自分のせいで助けることが出来なかった」と自分を責めるレオンハルトに下手に言い募れば、悪役になるのは今度は女性の方だろう。
「ええっと、その、私は……」
 このような切り返しは想定していなかったのだろう、女性は言い淀む。それにレオンハルトは何かを察したように頷いてみせた。
 何を察したのかはきっと誰にもわからない。
「ジェーン様、どうか俺に挽回のチャンスをください」
「えっと」
 戸惑ったジェーンはわずかに身体を揺らした。それを勝手に頷いたと受け取って、レオンハルトは「ありがとうございます!」と感極まった声を出し彼女を抱きしめる。
「必ず!貴方のその慈悲に報いてみせます!必ず!」
 そこで身を離すと彼女を真っ直ぐに見つめる。
「次は救ってみせます」
 その言葉に周囲から拍手と歓声が起こる。レオンハルトの真摯さを讃えるその場所で、ジェーンはその空気に呑まれたように「き、期待しているわ」と口にすると逃れるように足早に立ち去ってしまった。

 そして現在に至る。昼間に感動的な大演説を繰マカ と はり広げた当人は、だらしなく布団の上に酒とつまみを持ち込んでヤケ酒をあおっていた。ちなみにこれは今日が特別行儀が悪いわけではなくいつもの晩酌のスタイルである。平民出身でそれなりに貧困層であったレオンハルトは椅子ではなく地べたに座っているのが落ち着く傾向があるらしい。地べたでなくベッドであるのがきっと彼なりの精一杯の配慮だ。
「昼間は機転の効いた切り返しでしたね」
 とりあえず褒めてみた。
「ああいう場合は下手に空気を読まないほうがいいんだ。君も覚えておけ」
「はぁ」
 ミモザには覚えていたところで到底実行できそうもない手段だ。そしてレオンハルトの機嫌は悪いままだ。
(どうしようかなぁ)
 こういう時はジェイドは当てにならない。基本的には有能で困った時に頼るとなんでも解決してしまう彼だが、使用人という立場ゆえなのかレオンハルトに対してはだいぶ及び腰である。まぁ気持ちはわからなくはない。ミモザも最初の頃はレオンハルトの機嫌が悪いとひたすらに怯えていたものだ。
(こういう時は仕方がない)
 うん、と一つ頷くとミモザは……、黙っておくことにした。
 こういう際にミモザにできることはあまりない。ひたすら給餌に徹し、レオンハルトが話し出したらその話を傾聴するのみである。
 時間はかかるが結局それが一番良い解決策である。
「まったく理解できん」
 しばらく無心でお酌をしていると、ぽつりとレオンハdha epaルトはそう溢した。
「なぜ試練の塔を閉鎖したがるのか。そんなことをしたところで亡くなった娘は帰ってこない。ましてや彼女の娘は第5の塔に挑むほどの胆力と技量のある人だぞ。そんな女性が試練の塔の閉鎖を喜ぶとはとても思えん。娘の望まぬことを貫こうと努力するなど……、理解に苦しむな」
 通常試練の塔は番号が小さいほど容易く、大きくなるにつれて危険度が増す。そしてその1番の境目が第4の塔からだと言われている。
 つまりある程度腕に自信のある者しか第4以降の塔には挑まないものなのだ。大抵の人は第3までで止めるため、第4の塔を修めたといえばそれだけで尊敬される。エリザという女性はまさしく第4の塔を修め、第5の塔に挑み帰らぬ人となったのだ。
「僕は少し、……わかる気がします」
 レオンハルトの嘆きに、しかしミモザは素直に頷けなかった。
「なに?」
 彼の眉間に皺がよる。それに苦笑を返してミモザは空になったグラスに再び酒を注いだ。
「これは想像でしかありませんし、ジェーンさんには口が裂けても言えませんが、ちょっとわかる気がします。もしも僕の大切な人が亡くなってしまったら、きっと僕は助けられなかった自分を悔いて、そして今からでも何かできることはないかと模索すると思うんです」
 レオンハルトが死んだら。ミモザは思う。このままゲームのストーリー通りに進めば彼は死ぬ。そうなったら、知っていたのに防げなかったとしたら。
「死者にしてやれることなどない」
 弾かれたように顔を上げる。見るとレオンハルトは真剣な表情でミモザを見下ろしていた。ミモザは微笑む。
「それでも、貴方が亡くなってしまったら、僕は貴方クロムの効能のために何かできないかときっと必死になってしまう」
 レオンハルトが息を飲む。そこでミモザは自分が不謹慎なことを口にしたと気づいて慌てた。
「す、すみません!不吉なことを……」
「いや、いい……」
 何かを噛み締めるように、思いを馳せるようにレオンハルトは言う。
「続けろ」
「えーと、つまりですね。きっと亡くなったことが受け入れられないんです。だから貴方のために、何かしようだなんて不毛なことを考える」
 ミモザは半ばやけくそで言葉を続けた。彼は黙って聞いている。ミモザは観念した気持ちになって全部吐き出すことにした。
「だって、貴方のためにって頑張っている間は貴方の死と向き合わなくて済みますもん。目を逸らしていられる。だって僕は貴方のために頑張っているから」
 でも、と目を伏せる。
「目的を達成しても、残るのは貴方がいないという事実とそれを認められない自分だけです。だからきっと彼女も目的を果たしても、あまり報われないんじゃないでしょうか。少なくともやったーとは思わないんじゃないですかね」
「なるほど」
 レオンハルトは酒をあおった。先ほどまでよりもそのペースは落ち着いてきている。
「あの、本当に僕の気持ちでしかないので、彼女もそうかどうかはわかりませんよ」
「いや、しかしその理屈ならわからなくもない。ただこれ以上犠牲を出さないため、と言われるよりも納得がいく。参考になる」
 それで?と彼は尋ねた。
「どうしたら死を受け入れられる?参考までに聞かせてみろ」
 うっ、とミモザはつまる。そこまで具体的に考えてはいなかった。
「えー、えーと、お墓参り、とかですかね……」
「なるほど?」
 ミモザのしどろもどろの言葉に、彼は眉をひょいとあげて見せた。
サプリメント マカ亜鉛 サプリdha epa dha亜鉛の効果ゴーヤ

 ミモザはあたサプリメント マカ

 ミモザはあたりを見渡した。馬型の精霊達は血アントシアニンの効果に興奮したのか臨ゴーヤ チャンプルー戦態勢だ。
「ミモザさん!助太刀を……っ!」
 ジーンがそう叫び剣で精霊を切り捨てようとするのを、阻止するようにチロの棘が刺し貫いた。
「……っ!」
 棘は正確にゴーヤ チャンプルー馬の目を刺し貫いている。そのままミモザがメイスを振ると、迫ってきていた精霊達10体ほどはすべて中身を撒き散らして絶命した。
「ミモザさん……」
「余計なことはしないでください」
 不満そうなジーンに、ミモザも不満げに口を尖らせる。
「貴方の仕事は連絡役です。それ以上は越権行為だってオルタンシア様もおっしゃっていたじゃないですか。もしも何かをしたいというなら彼らに必要な亜鉛物資がないかの聴取をお願いします」
「このような状況で越権行為もなにも……」
「このような状況だからです」
 じろり、と睨む。
「僕はレオン様に迷惑をかけるわけにはいかない。状況につけ込んで事を有利に進められては困ります。貴方は僕たちと敵対したいのですか?ジーン様」
 ジーンはしばらく睨んでいたが、その不毛さに気づいたのだろう。諦めたようにため息をついた。
「貴方がそんなに職務に忠実だとは……、おみそれしましたよ」
「貴方は職務にだらしがないんですか?」
「嫌味ですよ!そんなこと誰も言ってないでしょ!!」
 文句を言いながらもそれ以上争うつクロムもりはないらしい。彼は素直に被害者遺族の会のメンバーへと近づき、何か話しかけているようだった。
 ミモザも気を取り直してメイスを握り直す。
(さて……)
 ちらりと背後にかばったジェーンを見る。彼女の顔は青ざめているが毅然としていて、なにかを覚悟したかのように見えた。
「……動かないでくださいね」
「え?」
 戸惑ったように顔を上げたジェーンを一瞥し、ミモザはメイスを地面に打ちつける。とたんに棘が恐ろしい速さで伸び、精霊達の目を一瞬で刺し貫いた。悲鳴のような甲高い鳴き声をあげて彼らは地に倒れ伏す。気がつけばミモザ達の周りには遺体が散乱し、生きている野良精霊は1匹もいなくなっていた。
「すげー……」
 マシューが思わずと言ったように言葉をこぼす。
「さぁ、一応片付けはしまし亜鉛の効果たが、またすぐに集まってきてしまうでしょう。今のうちに避難をしましょう」
 そしてミモザはどさくさに紛れて当たり前のような顔で避難を促し、
「それはできないわ」
 あっさりと拒絶された。
(まぁ、そりゃそうだ)
 そう簡単に流されてくれるようならレオンハルト達も苦労はしていないのだ。やっぱりレオンハルトが駆けつけるまで待つしかないか、と考えていると「でも、そうね」とジェーンが再び口を開いた。
「私以外のみんなは帰ってちょうだい」
 ざわり、とざわめきが起こる。それをゆっくりと見回してジェーンは告げた。
「先ほどマシューさんが言ってくれたように、成果は充分です。私たちの本気は伝わったはず。私は当然これ以上の犠牲を望みません。ですから、皆さんは一度撤退を」
「でしたらジェーンさん、貴方も」
 言いかけるマシューに彼女は首を横に振った。
「今は話し合いの場を設ける好機です。だってこうして向こうから出向いてくださったんですもの」
 そう言って彼女はミモザを手で示して見せた。
(僕……?)ゴーヤ
 思わず自分を指さして確認すると、いかにもと言わんばかりにジェーンは頷いた。
「あなたは私が聖騎士様にお声をかけさせていただいた際に彼と共にいらした方ですね。よろしければお名前を伺っても?」
 またざわりと周囲はざわついて、ミモザに視線が集中した。それに気まずい気持ちになりつつミモザは手を胸に当てて騎士の礼をとる。
「僕はレオンハルト様の弟子の、ミモザと申します」
 その言葉にざわめきが大きくなる。
(うう……)
 針のむしろとはこのことだろうか。逃げ出したい気持ちをなんとか抑えてミモザは踏みとどまった。
「まあ、お弟子さんがいらっしゃったのですね」
「不肖の弟子ですが」
「聖騎士様はいらっしゃらないの?」
 当然の疑問に、ミモザは嘆息した。
「今現在、王都周辺では野良精霊の大量発生が起こっております。王国、教会の両騎士団、そしてレオンハルト様はその解決のために奔走されております」
 またざわめく。今度は収まるまでに時間がかかった。
「そのため、今はこちらに訪れることが難しいのです。どうか一度塔から出て、時期を調整してはいただけませんか。すべてが落ち着いた後で話し合いをしましょう」
 ミモザの提案に、けれどジェーンは首を横に振る。
「ここを出てからゴーヤ チャンプルーでは話し合いの席を設けてはいただけないでしょう。よしんば話し合いを行なったとて、対等に意見を交わしていただけるとは思えませんわ」
 図星を突かれてミモザはうっ、と言葉に詰まる。
 おそらく話し合いの場を設けたとして、それは結論ありきのものになるだろう。被害者遺族の会の話を聞く機会は設けましたよ、と体裁を整えて終了だ。
「ですので、私がここに残ります。皆がここに残る必要はないでしょう」
 口々にどうするかと話し合う声が聞こえる。皆行動を決めかねているようだ。
(とりあえず人数減らすか)
 死傷者が出るのを防ぐことがミモザの第一目標だ。そのためには塔の内部にいる人間はできるだけ少ない方がいい。
「ではその左端の背の高い貴方!貴方から順番にジーンさんに着いて外に出てください!」
「余計な事するなって言ったわりには人使い荒いなぁ、まぁ避難には僕も賛成だけどさ」
 ぶちぶちと文句を言いながらもジーンは動き始める。
 戸惑いながらも指示に従って動き出す人々にミモザはほくそ笑んだ。
(これぞ必殺…)
 『名指しされると従ってしまう奴』である。
 よく緊急の現場では単純に「救急車に電話してください」というよりも「そこの赤い服の方、救急車に電話してください」と具体的に指名した方が人は動くという通説がある。それをしてみただけである。
 しかし効果はあったようだ。ミモザは満足そうに頷いた。
「いかん!いかんいかんいかんいかん!!」
 そゴーヤ チャンプルーの時甲高い喚き声が響いた。見ると1人の老人が地団駄を踏みながら喚いている。
「お前ら!お前らの家族に対する思いはその程度か!これ以上犠牲を出したくないという気持ちは!所詮その程度だったんだな!えぇ?」
「ロランさん」
 冷静な声が彼を呼ぶ。ジェーンだ。
「私たちの思いは本物です。その程度などではありません。教会側は使者を出してくださった。その成果が得られたのでもう全員がこの場に残る意味がないという判断をしたまでです。それに私はこの場に残るのです。それで充分でしょう?」
 見透かすようなその言葉に、ロランはしばし押し黙るとにやりと笑った。
「ではわしも残るとしよう。お主だけに任せるわけにはいかん」
「俺も残ります!」
 手を挙げたのはマシューだ。その新緑の髪と緑の瞳に見覚えがある気がしてミモザは首を傾げる。
(……あ?)
 緑、そばかす、童顔、そして被害者遺族の会
(思い出した)
 彼は攻略対象だ。確か姉とはどこかの塔で出会うはずだ。ゲームはシステム上親密度の高い攻略対象複数人とパーティを組むことになるのだが、彼は回復役担当で恋愛対象としてはともかく、パーティメンバーとしては人気が高かった。
 確かステラが「出世した暁には教会側と被害者遺族の会との間をつなぐのに尽力する」と約束するシーンがあったように思う。
「……では、私たち3人で残りましょうか」
 ジェーンがそう取り仕切って、結局この場にはその3人が残ることとなった。
ゴーヤ チャンプルーマカマカ と はdha epa

「…………」dha epa dha

「…………」
 恥ずかしくて顔を上げられない。ミモザは真っ赤な顔をして俯いていた。
亜鉛弟子……?」
 レオンハルトは怪訝そうだ。
(そりゃそうだ)
 そりゃあそポリ ペプチドうだ、内心でうんうんと頷く。チロも武器形態のままだが冷たい視線を向けてきているのがわかる。
「えーーっと、」
「……悪いがそういうのは募集していない亜鉛 の サプリんだ。すまないね」
 にっこりと微笑んで頭を撫でられる。その視線は生温い。完全に子ども扱いされていた。
(いや、子どもなんだけど!)
 子どもだが、そうじゃないのだ、真剣なのだ。
「そうじゃなくって、えっと、僕は真剣でっ」
「うんうんそうか。まぁ、憧れてくれるのは嬉しいよ。ありがとう」
 それは完全に大人がわがままを言う子どもを優しく窘める図だ。
 何かのマカ サプリお手本のようだ。
「ち、違います!!」
 撫でてくる手を払いのけてミモザは叫ぶ。
「僕は!本気で!強くなりたいんです!!」
「一体何のために?」
 急に至極冷静に突っ込まれてミモザは言葉に詰まった。
(何のために……?)
 いや理由ははっきりしている。周りを見返すため、ひいては姉から聖騎士の座を奪うためだ。
 しかしそうはっきりとレオンハルトに言うことははばかられた。
 まさか「貴方の弟にいじめられていたから見返してやりたい」とか、「貴方の今いる地位に将来姉がなる予定だから奪ってやりたい」とは言うわけにはい亜鉛かない。というかそんなことを言おうものなら下手をしたら殺される。
(殺される!?)
 先ほど対峙していた時の恐怖が蘇ってきてびびる。もしかしなくともミモザはとんでもない人間を呼び止めてしまっていた。
 そのまま素直に帰ってもらえばよかったのだ。機嫌のいい肉食獣に機嫌がいいからといってミモザのような草食動物が話しかけてはいけなかった。
「どうした?」
 脂汗をだらだらと流したまま固まってしまったミモザを、腕を組んで見下ろしてレオンハルトは不思議そうだ。
 それはレオンハルトからすれば親切心で言葉に詰まった子どもが話し出すのを待ってあげているだけの図だったが、ミモザには悪鬼が頭上から威圧を放って見下ろしているようにしか思えなかった。
 なんかオーラdha epaがずっとどす黒いままだし。
「あ、あの、理由……、理由、は……」
 その時のミモザの脳内は珍しく高速で働いていた。なんとかして相手の怒りを買わない当たり障りのない理由を探そうと思考は回転し、反転し、そして脱線した。
 これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る。泣いて抱きしめてくれる母親、机の中のゴミ、力を得るための儀式、髪を切られたこと、そして姉がこれから得るはずの栄光の記憶ーー、
 聖騎士レオンハルトが姉達をかばって死ぬ光景。
「……貴方を、助けたいからです!」
 教訓、慣れないことはするなかれ。
 普段思考のとろい人間が無理して急いで結論を出そうとすると大事故が起きる。
「……ほぅ?」
 レオンハルトの目が剣呑に細められるのをミモザは涙目で見守った。
「俺の記憶が確かなら、俺はこの国最強の精霊騎士のつもりだったのだが……、その俺を君が助けてくれると?何から?」
 そう言うdha epa顔は綺麗に笑っているが瞳は雄弁だ。
 なめてんのかこのクソガキ、そう告げていた。
「ち、違います!そういう意味じゃなくて!そのですね!」
 ぐるぐると元々空転気味だった思考回路がさらに空転し出す。
「す、好きなんです!貴方のことが!!」
「は?」
「だから貴方のことをお助けしたいんです!!」
「………」
(何言ってるんだ、僕……っ!)
 黙り込むレオンハルトに、またそりゃそうだと内心でミモザは頷く。
 だってミモザだって自分が何を言っているのかわからない。
 支離滅裂なことを叫ぶミモザに、しかしレオンハルトは冷静に「つまり、俺に好意があるから手伝いをしたいという意味の『助けたい』ということか?」と内容を推測して要約してくれた。
 彼は確かに大人なのだろう。
 ミモザの記憶ではレオンハルトはミモザ達のたった5歳年上なだけの、つまり現在17歳であるはずなのだが、その精神年齢は実年齢よりも遥かに大人びているように思えた。
 そのレオンハルトの要約が合っているのかどうかは横に置いて、困っているミモザは「そ、そうです!」と全力でその推測に乗っかることにした。
クロム だって貴方3年後に死ぬ予定なんですなんて言えないし。
 彼はそのミモザの返答に心底不思議そうに首を傾げる。
「君とは今日初めて会ったばかりだったと思ったが?」
「あ、会ったばかりですけど!」
 そこでミモザはやっと一拍呼吸を置いた。自身を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。
 この質問に対しては、嘘や誤魔化しは必要なかった。
 ゆっくりとレオンハルトの左右違う色の目に視線を合わせると、力が抜けたように微笑んだ。
「貴方は僕のことを唯一認めてくださいました。才能があると言ってくれた」
「それだけのことで?」
「それだけのことが、喉から手が出るくらい欲しかったのです」
 そう、たったそれだけのことだ。しかしたったそれだけのことがミモザを奮い立たせ、立ち上がる気にさせた。
 数日前も。そして今も。
「それだけでこれから先、僕は生きていけます。好意を抱くのには充分過ぎるほどです」
 これまでとは一転して自信を持ってそう告げるミモザに思うところがあったのだろう。レオンハルトはわずかに考え込んだ。
「俺は人に教えるのに向かない人間だ。最悪ただ君を叩きのめすだけの指導になってしまうかも知れないぞ」
「かまいません。貴方のサンドバッグにでも雑巾にでもしてください。そこから勝手に僕が学びます。貴方はサプリメント マカ僕の人生の恩人です。恩は返します。必ずお役に立って見せます」
 だから、
「貴方のそばに置いてください」
 そらされない目線の強さと意志に、レオンハルトはどこか眩しげに目を細めた。
「……いいだろう。しかし俺は忙しい。基本的には課題を出して時々様子を観にくる程度になるだろう」
「充分です!」
「ではこれを」
 レオンハルトは懐からメモ帳とペンを取り出すと何事かを書き込んでそれをミモザに渡した。
 ミモザはどきどきと胸を高鳴らせてその紙を開く。
 ここに、精霊騎士として強くなるための極意が書かれている。
 かくしてその中身はーー、筋トレのメニューだった。
「……えっと」
「まずは体を鍛えなさい。話はそこからだ」
 告げられる言葉は淡々としており、重々しい。
「はい」
 ミモザはとりあえずわからないながらも頷いた。長いものには巻かれるタイプの人間だからである。
「いい返事だ」
 レオンハルトは満足そうに頷いた。
ゴーヤ亜鉛アントシアニンの効果dha

 そこには美しいクロム

 そこには美しい麗人が立っていた。
 背中まdha epaで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集dha epa dhaめたかのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりdhaと笑いかけた。
「好きかしら?」
 その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったクロムりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラに負けている。
(悲しい……)
 ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むとアントシアニンの効果、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりとその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモゴーヤザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。
 しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いや亜鉛 サプリ おすすめぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?」
 紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)亜鉛 サプリ
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルトアントシアニン様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族マカ と は達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのような一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
 その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
ポリ ペプチドdhaアントシアニンの効果ゴーヤ

 ミモザはあたりアントシアニンの効果

 ミモザはあたりを見渡した。馬型の精霊達は血に興奮マカ と はしたのか臨戦態亜鉛 サプリ勢だ。
「ミモザさん!助太刀を……っ!」
 ジーンがそう叫び剣で精霊を切り捨てようとするのを、阻止するようにチロの棘が刺し貫いた。
「……っ!」
 棘は正確に馬の目を刺し貫いている。そのままミモザがメイスを振ると、迫ってきマカていた精霊達10体ほどはすべて中身を撒き散らして絶命した。
「ミモザさん……」
「余計なことはしないでください」
 不満そうなジーンに、ミモザも不満げに口を尖らせる。
「貴方の仕事は連絡役です。それ以上は越権行為だってオルタンシア様もおっしゃっていたじゃないですか。もしも何かをしたいとアントシアニンの効果いうなら彼らに必要な物資がないかの聴取をお願いします」
「このような状況で越権行為もなにも……」
「このような状況だからです」
 じろり、と睨む。
「僕はレオン様に迷惑をかけるわけにはいかない。状況につけ込んで事を有利に進められては困ります。貴方は僕たちと敵対したいのですか?ジーン様」
 ジーンはしばらく睨んでいたが、その不毛さに気づいたのだろう。諦めたようにため息をついた。
「貴方がそんなに職務に忠実だとは……、おみそれしましたよ」
ポリ ペプチド「貴方は職務にだらしがないんですか?」
「嫌味ですよ!そんなこと誰も言ってないでしょ!!」
 文句を言いながらもそれ以上争うつもりはないらしい。彼は素直に被害者遺族の会のメンバーへと近づき、何か話しかけているようだった。
 ミモザも気を取り直してメイスを握り直す。
(さて……)
 ちらりと背後にかばったジェーンを見る。彼女の顔は青ざめているが毅然としていて、なにかを覚悟したかのように見えた。
「……動かないでくださいね」
「え?」
 戸惑ったように顔を上げたジェーンを一瞥し、ミモザはメイスを地面に打ちつける。とたんに棘が恐ろしい速さで伸び、精霊達の目を一瞬で刺し貫いた。悲鳴のような甲高い亜鉛 サプリ鳴き声をあげて彼らは地に倒れ伏す。気がつけばミモザ達の周りには遺体が散乱し、生きている野良精霊は1匹もいなくなっていた。
「すげー……」
 マシューが思わずと言ったように言葉をこぼす。
「さぁ、一応片付けはしましたが、またすぐに集まってきてしまうでしょう。今のうちに避難をしましょう」
 そしてミモザはどさくさに紛れて当たり前のような顔で避難を促し、
「それはできないわ」
 あっさりと拒絶された。
(まぁ、そりゃそうだ)
 そう簡単に流されてくれるようならレオンハルト達も苦労はしていないのだ。やっぱりレオンハルトが駆けつけるまで待つしかないか、と考えていると「でも、そうね」とジェーンが再び口を開いた。
「私以外のみんなは帰ってちょうだい」
 ざわり、とざわめきが起こる。それをゆっくりと見回してジェーンは告げた。
「先ほどマシューさんが言ってくれたように、成果は充分です。私たちの本気は伝わアントシアニンの効果ったはず。私は当然これ以上の犠牲を望みません。ですから、皆さんは一度撤退を」
「でしたらジェーンさん、貴方も」
 言いかけるマシューに彼女は首を横に振った。
「今は話し合いの場を設ける好機です。だってこうして向こうから出向いてくださったんですもの」
 そう言って彼女はミモザを手で示して見せた。
(僕……?)
 思わず自分を指さして確認すると、いかにもと言わんばかりにジェーンは頷いた。
「あなたは私が聖騎士様にお声をかけさせていただいた際に彼と共にいらした方ですね。よろしければお名前を伺っても?」
 またざわりと周囲はざわついて、ミモザに視線が集中した。それに気まずい気持ちになりつつミモザは手を胸に当てて騎士の礼をとる。
「僕はレオンハルト様の弟子の、ミモザと申します」
 その言葉にざわめきが大きくなる。
(うう……)
 針のむしろとはこのことだろうか。逃げ出したい気持ちをなんとか抑えてミモザは踏みとどまった。
「まあ、お弟子さんがいらっしゃったのですね」
「不肖の弟子ですが」
「聖騎士様はいらっしゃらないの?」
 マカ と は当然の疑問に、ミモザは嘆息した。
「今現在、王都周辺では野良精霊の大量発生が起こっております。王国、教会の両騎士団、そしてレオンハルト様はその解決のために奔走されております」
 またざわめく。今度は収まるまでに時間がかかった。
「そのため、今はこちらに訪れることが難しいのです。どうか一度塔から出て、時期を調整してはいただけませんか。すべてが落ち着いた後で話し合いをしましょう」
 ミモザの提案に、けれどジェーンは首を横に振る。
「ここを出てからでは話し合いの席を設けてはいただけないでしょう。よしんば話し合いを行なったとて、対等に意見を交わしていただけるとは思えませんわ」
 図星を突かれてミモザはうっ、と言葉に詰まる。
 おそらく話し合いの場を設けたとして、それは結論ありきのものになるだろう。被害者遺族の会の話を聞く機会は設けましたよ、と体裁を整えて終了だ。
「ですので、私がここに残ります。皆がここに残る必要はないでしょう」
 口々にどうするかと話し合う声が聞こえる。皆行動を決めかねているようだ。
(とりあえず人数減らすか)
 死傷者が出るのを防ぐことがミモザの第一目標だ。そのためには塔の内部にいる人間はできるだけ少ない方がいい。
「ではその左端の背の高い貴方!貴方から順番にジーンさサプリメント マカんに着いて外に出てください!」
「余計な事するなって言ったわりには人使い荒いなぁ、まぁ避難には僕も賛成だけどさ」
 ぶちぶちと文句を言いながらもジーンは動き始める。
 戸惑いながらも指示に従って動き出す人々にミモザはほくそ笑んだ。
(これぞ必殺…)
 『名指しされると従ってしまう奴』である。
 よく緊急の現場では単純に「救急車に電話してください」というよりも「そこの赤い服の方、救急車に電話してください」と具体的に指名した方が人は動くという通説がある。それをしてみただけである。
 しかし効果はあったようだ。ミモザは満足そうに頷いた。
「いかん!いかんいかんいかんいかん!!」
 その時甲高い喚き声が響いた。見ると1人の老人が地団駄を踏みながら喚いている。
「お前ら!お前らの家族に対する思いはその程度か!これ以上犠牲を出したくないという気持ちは!所詮その程度だったんだな!えぇ?」
「ロランさん」
 冷静な声が彼を呼ぶ。ジェーンだ。
「私たちの思いは本物です。その程度などではありません。教会側は使者を出してくださった。その成果が得られたのでもう全員がこの場に残る意味がないという判断をしたまでです。それに私はこの場に残るのです。それで充分でしょう?」
 見透かすようなその言葉に、ロランはしばし押し黙るとにやりと笑った。
「ではわしも残るとしよう。お主だけに任せるわけにはいかん」
「俺も残ります!」
 手を挙げたのはマシューだ。亜鉛 サプリ おすすめその新緑の髪と緑の瞳に見覚えがある気がしてミモザは首を傾げる。
(……あ?)
 緑、そばかす、童顔、そして被害者遺族の会
(思い出した)
 彼は攻略対象だ。確か姉とはどこかの塔で出会うはずだ。ゲームはシステム上親密度の高い攻略対象複数人とパーティを組むことになるのだが、彼は回復役担当で恋愛対象としてはともかく、パーティメンバーとしては人気が高かった。
 確かステラが「出世した暁には教会側と被害者遺族の会との間をつなぐのに尽力する」と約束するシーンがあったように思う。
「……では、私たち3人で残りましょうか」
 ジェーンがそう取り仕切って、結局この場にはその3人が残ることとなった。
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